アルゼンチンタンゴ事始め

スタジオで先生にステップを教わることからはじまる

まずは、ここから

カミナンド、サリダ、ピポット、オチョ、サカーダ、ヒーロ、ガンチョ、ボレオ

ステップの呼び名も先生によってバラバラだし、おそらく50個ぐらいステップのカタチがあるかもしれない

ステップをたくさん知っているからタンゴが上手いにはならないところがオツである

たとえば、週1で2年通ったとしても、たぶんミロンガで誰とでも感じよく踊れるようにならない

学校でたとえれば、小学校が終わったぐらいかも

大人のタンゴ、魔法のタンゴに達するには、道のりは長い

どのステップからはじめるべきか

基本的なものは決まっているけど

この問題、まじめに考えたら、超難問

簡単に見えるものこそ難しい問題と同じ

カミナンドなのか、ボックスなのか、オチョなのか、サリダなのか?

タンゴはカミナンドに始まってカミナンドで終わるといわれているぐらい

カミナンドは永遠の課題

2人揃って、カッコよく歩けるようになるためにはどうすればいいか

これだけで10年やっている人達もいる世界

また、プロになりたいなら、それはそれでやり方は違うだろうし

タンゴの大会に出る場合と単にミロンガで踊れるようになる場合でもまったく違う

そもそも、習い始めは、いろいろなタンゴがあることすら知る余地がない

最初から、この住み分けができるようであれば、すれ違いも無くなり

その人が求めているタンゴに直結できるのだが

それが構築されていないのが、現実

ダンスなんだから、感じたまま踊ればばいいは嘘

これは初心者には言ってはイケナイ言葉

自己中になって、相手に迷惑を掛けてしまうだけだから

ある程度、自由自在にリードができるようになってからの話で

タンゴを踊りたいのであれば

まずは基礎的なことをレッスンで習う必要がある

レッスンせずにミロンガに来れば、それは迷惑を掛けていると思った方がいい

そのために初心者専用のミロンガもあるぐらいだから、そこからデビューするのがいいはず

「タンゴを教えるのは不可能」と言い切る人までいる世界

そこそこ踊れるところまでは持っていけるけど

そこから本当の意味でタンゴになるかどうかは

本人のセンスと明確なイメージを持って努力しているかだと思う

「本当の意味でタンゴ」

そういう面倒な人達がいる世界

自分もそうだけど(笑)

ただ、それを言っている本人の踊りは、重要ではない

本人の踊りは、脇に置いておいて

タンゴを見る眼をもつことが重要。という話

はずは、おもしろいタンゴとか、深いタンゴとか、他人のタンゴを見る眼を持てるかどうか?

やがて、それが本人のタンゴにも反映されていくと思う

余韻が残るタンゴの踊り方を教えてくださいと言われても、それは無理

いいタンゴとは、なにか?

ひとつあるとしたら、踊ったあとに余韻が残るタンゴだろう

余韻がカラダに記憶され、また、踊りたいと思えるのが、いいタンゴだろう

じゃあ、先生に、「余韻が残るタンゴの踊り方を教えてください」と言っても

それは無理な話であり

だから、タンゴは難しくもあり、面白くもある

ステップは手段であって、目的ではない

ステップは、目的ではなく手段であるということ

それを、ちゃんと教えているかどうか?

レッスンではステップを教えているように見えて

ステップを教えているわけではないかもしれない

先生や生徒のレベルにもよると思うが、そこがポイント

ただ、1-2年ぐらいだと、ステップを覚えるは仕方ない

この違いを意識して取り組むことがポイントだと思う

女性(フロワー)はステップを覚えても意味がない

覚えたところでまったく意味がないだけではなく

覚えて頭で動こうとすれば

リードを無視しているとも言え

ぎこちない踊りになってしまう

覚えるべきは、リーダーのリードに対する、フォロワーの反応の仕組みだと思う

男性はステップを忘れるところから始まる

覚えたステップを繰り返すだけのタンゴ

いかにそこから脱却するか

脱却することで本当のタンゴが始まる

ただ、そのために何をするかは、誰も教えてくれない

最終的には、教わるものではなく、自分で作るものだと思う

ここから長いタンゴの旅が始まる

同じ先生に続けて習う

先生にも個性があり、教えることも、教え方もまったく違う

3年習い続ける意味のある先生に出会えるかどうか?

なんなら一生教えてもらいたいと思えるか

それで、その人のタンゴ人生が決まってしまう気がする

ある人にとってはいい先生でも、違う人からすればダメかもしれない

合う合わないの色が強い世界だと思う

どんどん先生を変えていく人もいるけど

ただ、経験上、言えることは

3年ぐらいは同じ先生に教わった方が早道のような気がする

同じレッスンに通っていても、差が出てしまう理由

同じ先生に教わったとしても、生徒のレベルはバラバラ

教え方は同じなのに、なぜ、その違いが出るのか?

それは生徒側に要因がある

レッスンで何を学ぶのか?

ひとつ言えることは

ステップの習得にばかり時間を割いても意味がない

ステップを学ぶにしても

その動き中に潜んでいるカラダの動きの力学的な構造を知り体得していくとか

カラダの動きには必然性があるものだとか

すべて動きは、つながっているとか

ペアで踊るためには、何が一番大切なのかとか

そこらへんを探りながら教わるかどうかで差が出てしまうような気がする

たぶん、レッスン中は、そこらへんの説明もしていると思う

ただ、ステップを覚えようとして耳に入ってこない

これに気づくかどうかだけで、タンゴの踊りはに、かなり差が出ると思う

男性は女性よりも数倍頑張らないとダメらしい

とにかく時間が掛かる

タンゴはマルチタスクであり

すべてタスクを同時並列してやるコンピューターのごとく動く必要がある

タンゴには、どんなタスクがあり、何を意識して、それをどのように組み合わせて動くか

これ、わかりやすく教えることはほぼ不可能

無意識が、なぜ無意識なのかを説明するのと同じ

そんなわけで、1つずつ無意識でできるようになるためには

どうしても時間が掛かる

時間がすべて解決してくれるならまだ楽だけど

もう説明云々の次元を超えてしまう領域もあることから

すべてを教わることは不可能で

自分なりに考えて自分なりのタンゴ構築していく必要がある

それがない限りは、いつまで経っても最初の壁は超えられない

本物のタンゴにたどりつくためには

どっぷりのめり込む期間がないと、本物にはたどりつかない

本物とはそういうものだと思う

毎日タンゴ漬けみたいな生活

それは、全然不思議なことではない

そこまでやっても、プロになるわけでも、先生になるわけでもない

ただミロンガに行って、踊るだけなんだけど

それぐらい本物のタンゴには魅力がある

日本でタンゴを踊るようになって50年以上

今の時代は、ネットで、いくらでもタンゴの情報や動画に触れることができる

いい時代だと思う

一方で、ネットの世界とは一切関係のないタンゴの世界もあるように思う

それこそ、伝承や継承という芸能や職人の世界かな

タンゴには、この世界も、それなりにまだ残っていると思う

両立している、タンゴを始めるには、いい時代かもしれない