タンゴらしさの構築と脱構築

●相手の温もりに触れ、音楽を感じて踊る

タンゴはハグに近い状態で踊る

ハグとは何かを深掘りしたら、相手の温もりじゃないかと思う

タンゴらしさの構築とは、相手の温もりを感じながら踊るというのが最終ゴールのような気がする

温もりを感じていれば、喧嘩にはならないし、ましてや戦争にもならない

そんなところにつながっていく、タンゴはそういうものだと思う

しかし、相手の温もりとか、音楽を感じで踊るとか

教えることができない

「相手の温もりの感じ方」とか、そんなレッスンはない

そして

相手と音楽という2つことを同時進行しなければならない

温もりだけ求めても、一人で勝手に音楽に浸ってもダメなのだ

たぶん、これを実現するためには

まずは、動きを覚える何年

次に、リードとフォローを知るに何年

さらに、音楽に何年

そして、相手と向き合うマインドに何年

最後に、これらすべてを同時進行するに何年

自分らしさ、タンゴらしさの構築には

あっという間に10年ぐらい時間が過ぎてしまう

●頭で踊るタンゴからの卒業

頭でタンゴの動きが理解できたら、次はそれをカラダに覚えさせる

タンゴ的な動き方がカラダに染みついていく

そうなると、自在に動き始める

次に、自分のイメージするタンゴを作る

どうやって作っていくかは、今ならYouTubeを参考にすればいい

多くのタンゴダンサーの中からお気に入りを見つければいい

●その瞬間、何を意識しているか

自分の小指がどうか、重心がどうとか、歩幅がどうとか

それは、自分を意識して踊っている状態

相手は、どこかに置き去りにされている

雑なタンゴになる

常に意識は相手に向けられていなければならない

●ミロンガ前は妄想を膨らませる

ミロンガに行くなら

行く前に気持ちをそこに集中させて

妄想を膨らませていく

じっくり曲を聴いてイメージを膨らませる

イメトレは重要

リードはイメージの具現化なんだから

タンゴのイメージがない人にリードができるわけがない

●どんなステップを踏んでいるかより、2人の間の空気感を見せるもの

さまざまなステップを踏んでいるから、すごいタンゴということはない

あくまでも二人の空気感、タンゴ感がそこに存在しているかどうか

そこにタンゴがある

踊っている二人はいい感じになっているのはもちろんのこと

周りからも素敵なタンゴに見えるはずだ

それは周りにも伝染して

よいタンゴの空気で、ミロンガが満たされていく

●シンプルなタンゴ

覚えたステップをどんどん削ぎ落として

シンプルなタンゴを作る

タンゴ初心者にしか見えない

微妙な良さは、微妙なだけに相手にはわかりずらい

でも、こっちです

初心者ができないことをやってすごいではなく

初心者と同じことをやって

初心者とはまるで違う

それなんです

●踊りのボリュームを感じ取る

踊りのボリュームとは、踊りの大きさ

動きのひとつひとつの積み重ねが

すべてつながって1つの大きな動きになる

その大きさのこと

大胆で躍動感がある踊りをする人であれば、その踊りのボリュームは大きいし

シンプルで繊細な動きをする人であれば、その踊りのボリュームは小さいとも言える

この踊りのボリューム感は、一人ひとり違う

その違いをわかったうえで

相手のボリュームに自分の踊りのボリュームを合わせていく

ボリュームが一致したときに、踊りの一体感が生まれる

●ルパン3世が、女性のハートを盗むかのように

そんなタンゴを踊りたいと

思う気持ちがなにより重要

どのように思われたいのかイメージを持たない限り

自分のタンゴは構築できない

●最後は、自分のタンゴを信じる

誰も自分のタンゴを言葉で説明することはできない

すごく感覚的なものになっていくと思う

最後は、自分のタンゴを信じて進むしかない

ダメだししてくれる人がいればラッキー

耳を傾けよう

たぶん、その忠告は当たっている

●ブエノス至上主義的

ブエノス至上主義は嫌いだけど

アルゼンチン人の踊りは、日本人の踊りとはあきらかに違う

なぜ、違うのか

カラダや文化の違いだけではないような気がする

何をタンゴで表現するかの違いだと思う

それが、日本にはない

●リアリティーがない、五感がない

技術と感性のバランス

技術があれば演じてしまう、ただし、それはつまらない

ただ踊るということだけで、消耗していくだけの踊り

1人でもいいから、相手の記憶に深く残るタンゴを目指した方がいい

●アンビエンドは呼吸、血液の流れるテンポ

アクセントとフレージング(旋律=音の高低・長短の変化)の繰り返し

ずっと力が入っている状態ではクールではない

ときどき脱力がないダメ

脱力時のタンゴ感や気持ちよさ感が一致しないとたぶんダメ