タンゴDJ

タンゴDJなる存在

ミロンガで選曲する人をタンゴDJと呼ぶ

DJは奉仕する人、ミロンガのスタッフである

ミロンガ全体のことを考えて動かなければならない

1タンダは3、4曲の構成で10-15分程度

タンゴ、ミロンガ、ワルツという3種類のタンゴがあり

同じ楽団や同じ曲調をつなげていく

どんなタンダにするかがDJの腕の見せ所

ただ最近は、ネットのおかげで高速道路理論ではないが洗練が進み

どのDJも選曲は似たり寄ったりだったりする

ミロンガ選曲での定番

たぶん、ミロンガでかかる定番は1000曲ぐらいだと思う

1つのミロンガで、時間にもよるが、70-100曲ぐらい掛かる

タンゴの曲は、曲があって、楽団があって、歌い手が居る

同じ曲を違う楽団が演奏すれば違う曲になり

同じ曲の同じ楽団で歌い手が変われば、また違う曲になる

たとえば、カナロという楽団は、ビジネスマンと言われているように

同じ曲で歌い手をどんどん変えて、どんどん曲を生み出していく

当然ながら、この一曲に掛ける的な一発屋さんの名曲もある

また、タンゴと言えば、ピアソラは有名だが、ミロンガではほとんど掛からない

踊る曲というよりは、聴くためのタンゴだからである

オルケスタの特徴

スタカート→ディサルリ

リズムの王様→ダリエソン

フレセド→サロン、上品

名門→ミゲル・カロ楽団

最大のバンドネオン→トロイロ

サービス系→ローム楽団、カナロ楽団

ジュンバ、不規則なリズム→プグリエーゼ

ディサルリ

均質ではっきりした音でありながらメロディアス

古いタンゴと新しいタンゴをミックスした

バンドネオンはリズムカルに徹している(弱い)

バイオリンが色をつけている、強い

ディサルリはオーケストレーションが強いので

楽器のソロもない

最後の盛り上がりもない→静かに終わる

歌手が違っても、同じ感じが多いのが特長

ファンダリエンソ(イタリア系)

30年代のタンゴのベースになってい

スタイルは変えない

どんどんアゲアゲにしていく

楽器ソロ部分をちょいちょい入れてくる

バンドネオンが強く、リズルカムで早い

一番踊りやすい(ビキナーからアドバンスまで全員踊れる)

アニバル・トロイロ

トロイロには、プグリエーセやディ・サルリのように一聴してわかるスタイルはないかもしれない

低音を使う、ゆったりしたスタイルでテンポを遅くする

トロイロは「歌(=歌手)+オルケスタ」という表現形式を確立した

歌手がメインで、楽器がバックで支える邪魔しない

歌手で、だいぶ雰囲気や違う

センチメンタルに行くときはトロイロを使うといい

40年と60年で大きな違いがある

ミゲル・カロ

偉大なミュージシャンの集まり

フレセドの影響を受ける

落ち着いて洗練されたエレガントなサウンド

シンプルでリズミカル

踊りやすいため、ミロンガでも結構かかる

フレセド

疲れたときでも、なんとか踊れる

カナロ

ビジネスマン(スタイルは常に新しいものを採用していく)

同じ時代でも、異なるオルケスタを持っていた

ミロンガ二拍子を確立した(早いミロンガとゆっくりなミロンガがある)

ユニゾンとシンプルな和音

プグリエーゼ

踊るための音楽にこだわらなかった

質のよい曲を作ることにこだわっていた

ゆえに、踊るためには、かなり複雑な曲になる

ジュンバ(擬音)は、すごくアクセントが強い曲

不規則なリズム(テンポは一定ではない)

シンコペーション

ハーモニー

複雑なメロディー

一晩で1回入れる程度、最後の方に入れる

アンヘル・ダゴスティーノ

ダンゴステーノとのコンビはTheタンゴ

歌詞がアルゼンチン人に響くらしい(思わず歌ってしまう)

ミロンガではよく使う

味がある

リズム強調

ヘドロ・ラウレンス

エネルギッシュ、フレージング

バンドネオンの名手(バンドネオンの早引き)

ピアソラがこの楽団が好きだった

ビアジ

ダリエンソのピアニストだった

ファン・ダリエンソのスタイルを継承

リズムカル、神経質、落ち着かない

エネルギーが内側に入ってくる感じが一番好き

ルシオデマーレ

感傷的なタンゴ

感傷的に踊る

タンウゥリ

迫力のある、ダンサブル音

メランコリック

タンウゥリが来たら、みんな歌手を聴く

アルフレド・デ・アンヘリス

ダンス前提のタンゴ

ツインボーカルを積極的に取り入れる

いろんなリズムでやることで有名

フリオデカロ

流行っているもの、みんなが喜ぶものというよりは

音楽大学でちゃんと勉強した人のタンゴ

そういう意味で、難しい複雑な曲を作る傾向がある

DJでは、あまり使わない

継承

ブグリエーゼ→Color Tango

ダリエンソスタイル→ビアジLos Reyes Del Tango

ミゲルカロ→Orquesta Tipica San Souci

ディサルリ→Tipica Gente De Tango

曲のバリエーション

1、分間になっている拍数をBPMと呼ぶ/甘美)なタンダ→カナロ

2、情熱的/ドラマティック(どんどんあがっていく)なタンダ→ブグリエーゼ

3、遊び心のある「リズミカル」なタンダ→軽い→ビアジ

4、エネルギーに満ちた「リズミカル」なタンダ→スタッカートが強い→ダリエンソ

5、美しい、メロディアス→歌なし、歌あり

6、激しい、テンポが早い

7、複雑な音→凝っている

8、新しい→エレクトロニクス

DJとしての選曲

退屈を避けることがとても重要

似たようなタンダを続けない

タンダで抑揚を付けて飽きさせない

タンダの抑揚バリエーション

1)RITMICO - MELODICO(リズミック - メロディック)

2)FAST - SLOW(早い - 遅い)

3)GOOD QUALTY - BAT QUALTY(高品質 - 低品質)

4)SINGER - NO SINGER(歌手モノ - インスト)

タンダの構成

1タンダは、3、4曲、同じ楽団で、同じテイストのもの

1セットは6タンダ70分(抑揚を出す)

tango→tango→Vals→tango→tango→Milonga(1セット70分)

T(Slow)→T(Fast)→V(+)→T(Fast)→T(Slow)→M(++)

Slowl:ゆっくり、Fast:早い

Mが一番早い=疲れる

歌モノを2タンダ続けることはしない

メロディアスなものは、Milongaの前後に持ってくる

リズミックなものはValsの前後に持ってくる

これにより、スピードの差が出て、タンダの違いに抑揚が出せる

また、パターン化されていることで、お客さんも計画を立てやすくなる

客層とDJの関係

初心者が多い場合は、踊りやすいテンポが一定の曲がいい

はじめて踊る人の場合は、誰でもが聞いたことがあるような有名な曲がいい

いつものメンバーで、はじめて踊るような人がいないミロンガでは自由でいい

なぜ、1タンダの中では同じ楽団にするのか

タンダ1曲目のイントロが掛かった段階で

このタンダは、どんな感じ選曲になるのか、それをお客さんも知っているから

それにより、この選曲なら、誰と、どう踊るかを想定することができる

また、これは、苦手だから、踊らずに休むとか

お客さんが行動しやすくなり、楽しみやすい

逆に、いろいろ想定外を入れると、戸惑いや怒りに

逸脱しないことによる、安心感を作っていくということが大きいい

逆に、逸脱することにより、わくわく感や発見など狙ってはいけない

重要なのは、また来ようと思って帰ってもらうこと

このミロンガは楽しかった、楽しめたと思って帰ってもらうこと

なぜ、後半に行くほど、いい感じの曲になるのか?

早く帰らせないようにするため

常に期待させ続けることができればベスト

きっと、これから、自分の好きなあの楽団が、掛かるはずと

タンダの1曲目でフロアーに出させる選曲を

1タンダの中で、1曲目を選ぶときに、とくに気をつけていることがあるか?

1曲目は、ベストをかける

3秒聞いて、踊りたくなるような曲がいい

タンダ内は、だんだん早くなるか、だんだん遅くなるかにしていくようにする

1タンダの中の曲順

タンダの中で、だんだんと踊りを調整していくのがミロンガでの踊り方

タンダの1曲で、相手のレベルや癖などを把握して、タンゴの踊りの構成を決めていく

なので、タンダの1曲は、調整しやすい曲がいい

ミロンガの開始時間では、配慮は必要か?

ウキウキでミロンガに来ているわけだから、暗い曲より、テンポがいい曲いい

ウキウキしている気持ちをそのまま持続させてあげる必要がある

1セット目(6タンダ)が終わるぐらいまでは、この法則でやる

朝4時にミロンガ掛けても誰も踊れない

疲れている

もうそろそろ終わりが近い

であれば、しっとりした曲がいいはず

ミロンガの終わりに、テンポの速いミロンガの曲は要らない

タンゴ2-3タンダ掛けたら、ワルツかミロンガというパターンだけではない

歌詞の意味はどれくらい考慮するか?

これは、日本でという限定の話

歌詞の内容がわからないという前提の話

音感や踊りを重視していて

歌詞の内容まで考慮していない

反体制とかをテーマにした曲も選曲に入っている気がする

また、振られた悲しい心情をテーマにした曲で楽しく踊ってしまう気もする

歌詞がばっりりわかる人達にとっては、不思議な世界を作ってしまっていると思われる

ポリリズム

「ポリリズム」っていうのは「複数のリズムが同時進行で演奏される事」

踊りが一気に難しくなる

BPM

1分間になっている拍数をBPMと呼ぶ

BPMを変えられる機材が必要だし

タンゴDJだと、敢えてBPMを変えて曲を掛けることはないと思う

クラブのDJ

DJやってみたいと思ったのは、クラブのDJを見ていたから

自分の知らない、いい感じの曲を、次から次へと掛けていく

自然とカラダも動く

それがDJのやる仕事だった

クラブに行けば、酒は飲むし、踊るし

ひたすら、いい選曲をして、いい雰囲気にしていく

気持ちいい空間を創り上げていく

このノリでタンゴのDJをやると

ダメだしされる

タンゴのDJは、そういう世界だったりする

DJのキャラ(個としてのDJ)

同じ選曲なら、いろいろなDJは不要

DJごとにキャラがあった方がいい

また、一度できたキャラは崩さない方がいい

キャラの出しどころは、選曲

つまり、曲のチョイス

どのDJも似たり寄ったであれば、AIでいい

ちなみに、YouTube musicのレコメンドだけで選曲したことあるけど

すごくいい感じ

目指すべきは

今日はDJはいいからミロンガに行く

間違いは、DJはアーティストを担ってはダメだけど

客が呼べるDJは、この限りではあらず

DJを目当てに来るので、DJが主役であり、アーティストであっていい

RONDA DE ASES(エースのラウンド)

4曲まったく違うオルケスタで掛ける

しかし、その中に共通点がある

敢えて、パターンのストラクチャーを壊すことをやる

基本を知っているうえで、あえてチャレンジする

そういうDJの方が好き

今のタンダは失敗したと思えば

次のタンダは大定番タンダでごまかすとか

失敗ダメージはいくらでもコントールできる

ミロンガを楽しむためには

この選曲だったら、誰と踊ろうという選択肢が多いほど

どんな選曲だろうが、楽しむことができる

それに、気づいていない人が多い

ミロンガがつまらなかったというのは

これがないため

目指すべき方向性は、ここだと思う